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ゆりこのダブダブ道

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ダブダブドリル帳

発売より?カ月、旧年中にやっと読み終わりました!DUB論!!!


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「世界で唯一のダブ専門書」と謳うだけあり、中身みっちり。
記載のある曲をいちいち試聴しつつ、時に弾きながら読み進めたので、えらい時間がかかっちゃいました。
わたしにとって、本書はまさにダブのドリル帳!
(はじから忘れちゃうけどNE)


カヴァーはDrawise a.k.a
ふっくんによる脅威の手描き!




著者 : マイケル・E・ヴィール
訳 : 森本幸代
出版 : TODOROKI
tdrb-003
¥2,625(tax incl.)



「ダブは他の音楽に感染し、新しいスタイルに変化させるウイルス」 Steve Ballow

「ダブを聞くと、音楽と一緒に飛べるんだ。心と体、たましいを音楽に合わせて飛ばせる。もし音楽がなかったら、抑圧と税金で死んでしまうだろ」 Lee'Scrath'Perry

「それを『サイエンス』と呼ぶ奴も『魔術』と呼ぶ奴も、ただ『オーベア』と呼ぶ奴もいる」 Prince Baster

「『こんなの十年前にできたかな?たぶん無理だよな。でも、こういう曲は二十年後にできるかな?たぶんできるだろう。でもマイクチップとコンピューターを使ってな』」 Clive Chin,Errol Thompson

「リズムをいじっていると、リズムはドラムとベースでできてることがわかる」
Clive Chin
※本文より抜粋、一部中略


CDのカップリングがカラオケだったり、曲にはRemixヴァージョンがあったりしますよね。その発祥は70年代ジャマイカ。1972年以降にプレスされたほとんどのレゲエのレコードB面には、原曲の“Version”が収録されています。
原曲をバラバラに解体して、ぐにゃぐにゃにエコーや山びこをかけ…、思いつくままに効果音をかぶせ、「これはこれでお楽しみなはれ!!!!!」的な。
当時ジャマイカで盛んだった野外ダンスでかけると、原曲より盛りあがるもので、ガンガン作ってたんですね!

原曲!



DUBWise Version!ソファーでならストーン、サウンドシステム前ならバキバキ!




今では考えられないようなショボい機材を駆使して「(DUB)Version」を創ってたのが、ミュージシャンじゃなく電気技師のおっさんたち=ダブ エンジニアだったという。
今わたしたちが聴いてる音楽はほぼデジタル加工品。サウンドテクノロジーを、ある意味楽器のように用いはじめ、レコーディングスタジオを単なる録音の場から創造の場へ。
事件はヨーロッパやアメリカじゃない、ジャマイカで起きてたんだ!というストーリーの、裏側と因果を明らかにする1冊ってとこでしょうか。


★ダブは、当時どんな風に創られていたの?
★何でジャマイカなの?
★電気技師のおっさん発信から、どうやって世界のメインストリームへ?



★ダブとダブ・エンジニアの関係

1960年代後半〜70年代、ダブ黎明期から隆盛期に活躍したエンジニアについて、それぞれたっぷりとページを割いて紹介。
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Sylvian MorrisからKing Tubbyとその弟子たち、LEE 'SCRATCH' PERRY、Errol Thompsonまで、各人のプロフィールはもちろんのこと、スタジオで使用した機材のスペックや入手経路、詳細なテクニックに至るまで、かなりくわしく紐解かれており興味津々です。例に挙げられている曲を聴きながら「ふむふむ、このムードはこんな裏ワザで演出されてるんや〜!」と、ガッテンボタンを連打。

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★背景はアフリカ!?

これまでダブやヴァージョンは「他人の著作やろーがなんやろーが、勝手にいじりたおして未来永劫使いまわしたる」という、社会的背景とジャマイカ人気質の産物という扱いだったけど、どうもそれだけじゃないみたい。
アフリカから奴隷として集団拉致され、バラバラに引きちぎられた過去の記憶を拾い集めようとする作業=ダブミックスだという考察がとても新鮮!

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黒人文学にはコラージュの手法を用いたり、トラウマをテーマとするものが多いそう。ブラックミュージックにおいては、テクノロジーと宇宙のイメージを介してアフリカを喚起させようとするのが常套手段。封じられた過去を未来的なイメージで解き放とうとしているのか、ダブの手法にもどっぷりとその色が表れてます。


★国境を越えてからのダブの変化

レゲエといえばジャマイカかイギリスかって話(私はUKから入門しましたし)なのですが、一般的にいまいち知られていないのが悔しい。イギリスからはAdrian Sherwood、Mad Professor、Dennis Bovell。アメリカはBullwackieとBill Raswell。ドイツはRhythm&SoundsのMoritz Von OswaldとMark Ernestusなどの紹介を通じてエレクトロニカへのダブの影響を分析。実験音楽やフリージャズの巨匠の名も登場し、興味深い内容でした。

このテーマで印象深かったのは、Adrianの「原曲のヴァージョンでなく、最初からダブ・ミックスのために音楽を作るようになる」というコメント。当たり前のようだけど、ジャマイカ生まれのダブが海を渡ったことは、すべてのポピュラー/ダンスミュージックがみるみる増殖し、細分化されてゆくターニングポイントだったのだと思いました。

古いダブが未だ新鮮に感じられるのは、テクノロジーを凌駕していたから。現代の音楽はテクノロジーに溺れている、というような話も書かれていました。確かにね。

もうひとつ。特にイギリスやアメリカのレゲエ・ダブにおいては、アフリカ生まれのカリブ育ち、第3国在住と、流浪する2重のディアスポラ根性が作用しているという説も興味深い!(ディアスポラ=祖国以外の地で生きることを強いられた人びと)

Jah Shakaについて若干触れてはいたものの、New Roots、Modern Rootsについて語られることがなかったのは残念!! ヨーロッパ各地に伝播したサウンドシステムカルチャーについても掘り下げてほしいものです。



レゲエには様式的で懐古主義的な側面があるものの、わたしはレゲエやダブの荒削りで、衝動的で、ゴリ押しなところが好きだと実感しました。こなれて精緻で動機のないメッセージを乗せたレゲエなんて死んでいるも同然だー。ダブにおけるドラム&ベースの意義についても、具体的に書かれており、個人的には大満足!

長年レゲエを聴いている人にとっては、大部分がすでに知っている内容ばかりだと思います。むしろすべてのレゲエ以外の音楽ファンに読まれるべき1冊。特にトラック制作やDJをやっている人にとっては、すっごくタメになると思います!

ちょっと読んで味噌!



今週末にはリリースパーティも。興味のあるかたはぜひ、サウンドシステムでダブの魅力をご満喫ください!爆音だと10割増なのでね♡
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by littleyu_like_mad | 2011-01-04 17:29 | REGGAEやDUBのこと